鉄が制御する脂肪細胞分化に重要なエピゲノム機構の解明
生体調節研究所代謝エピジェネティクス分野の稲垣毅(教授)らは、鉄が脂肪細胞分化を制御するエピゲノム機構を解明しました。鉄は生体機能に必須ですが、有害な活性酸素の産生にも関わるため、細胞内では厳密に制御されています。細胞内の鉄はフェリチンタンパク質に蓄積されていますが、我々は、脂肪細胞の分化の過程で、この蓄積された鉄が供給され、さらにPCBPというタンパク質に結合して核に運ばれることの重要性を見出しました。核に保存される遺伝子情報を適切に読み取るためにはエピゲノムが大切な役割を果たしますが、今回、鉄がエピゲノム酵素の活性を調節して脂肪細胞の分化を制御する詳細な機構を解明しました。
本研究の成果は、今後、鉄によるエピゲノム制御機構を対象として、肥満症や糖尿病に対する予防や治療法のシーズとして寄与することが期待されます。
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概要
?雑誌名:Nucleic Acids Research誌(英国)
?公開日:2023年5月9日(グリニッジ標準時)
?タイトル:”Crucial role of iron in epigenetic rewriting during adipocyte differentiation mediated by JMJD1A and TET2 activity ”